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成人歯科健康診査に於ける江戸川区歯科医師会と区健康部の啓発活動 第2報
−6024に向けて−
○根本秀樹 安藤文郎 鈴木正一郎 野田隆二 国藤静子1) 渡辺洋子2)
稲毛律夫3) 似鳥弘道
(社)東京都江戸川区歯科医師会公衆衛生委員会 江戸川区健康部生活衛生課衛生検査室
江戸川区中央健康サポートセンター歯科1)江戸川区葛西健康サポートセンター歯科2)
東京都江戸川区では、独自に昭和62年度より江戸川区委託事業として江戸川区歯科医師会と江戸川区健康部が協力し、成人歯科健診を行い、60歳で24歯以上の現在歯数を残す「6024運動」の実現を目指してきた。対象は、毎年20歳から60歳までの5歳おきの各年齢の成人区民であり、歯科疾患に対しての早期の発見および早期の治療を促してきた。今回は、平成16年の区民の現在歯数や歯周疾患の状態、また歯周疾患と喫煙および肥満・糖尿病の関係について検討を行ったので報告する。
対象は、平成16年の成人歯科健診受診者で、成人歯科健康診査申込書により江戸川区歯科医師会会員の各歯科医院にて歯科健診を受けた区民である。歯や歯周疾患の状態、また歯周疾患と喫煙状況および肥満(BMI)、糖尿病(A1c)との関連の集計分析は、江戸川区健康部、健康部生活衛生課衛生検査室及び各サポ−トセンタ−の協力を得て、医科の区民健診・節目健診のデータとリンクして集計を行なった。
1)20歯以上の保有者の割合と現在歯数
受診者のうち20歯以上保有する者の割合は、45歳までは、男女とも90%以上であったが、男性は55歳で、81.9%、60歳では66.6%であった。一方、女性は55歳で、83.19%、60歳では75.4%と60歳では、女性の方が20歯以上の保有者が多かった(図1-1・1-2)。 1人平均現在歯数は、男性では55歳で23.1歯、60歳で21歯であった。女性は55歳で23.6歯、60歳で22.6歯となり、「6024運動」の早期達成の可能性が得られた(図2-1・2-2)。 また、この結果をもとに80歳の現在歯数を予測式により求めたところ、80歳時点の現在歯数は、男性では17.7歯、女性では20.1歯となり、平成13年の分析結果と同様に、現在60歳の女性の1人平均現在歯数は、20歯を超える可能性が示唆された(図3-1・3-2)。
2)歯周疾患の罹患状況
歯周疾患に罹患している者は、男女とも各年齢群で高く、約8割が罹患していた。とくに60歳では、所見のみられた者は男性で83.8%、女性は84.4%であった(図4-1・4-2)。したがって、今後とも歯科保健活動を行う上での、歯周疾患予防の必要性が認められた。
なお、健康日本21では、CPI コ−ド3以上の者の減少を目指しているため、本研究では、歯周病と喫煙、糖尿病および肥満との分析では、CPIコ−ド3以上の者を歯周病有病者とした。
3)歯周疾患と喫煙の関連
歯周疾患罹患の有無と喫煙の関連をみた。喫煙者は、非喫煙者に比べ歯周疾患有病者(CPIコ−ド3以上の者)の割合が高かった(図5-1)。とくに男性の非喫煙者では、コ−ド3以上の者が33.9%であったのに対し、喫煙者では43.4%と有意に罹患率が高かった(p<0.01)(図5-2)。
4)歯周疾患と糖尿病の関連
歯周疾患と糖尿病との関連についてみたところ、糖尿病の指標であるHbA1c5.4以下の群では、CPIコ−ド3の者が男性で、58.9%、女性で37.3%であったのに対し、HbA1c値5.5以上の高値群では、コ−ド3以上の者が、男性で80.0%、女性で42.3%とHbAlcの基準値を越える群の方が、歯周疾患に罹患している者が多いことが示された(図6-1・6-2)。
5)歯周疾患と肥満の関連
最後に、歯周疾患と肥満の関連をみた。BMI値24.9以下の非肥満者では、CPIコ−ド3以上の者が、男性で33.8%、女性が31.8%であったが、BMI25.0以上の肥満者では、コ−ド3以上の者が男性で44.9%、女性は40.7%であった(図7-1)。また、肥満の有無と歯周病の有無についてみたところ、コ−ド3以上の歯周疾患罹患者は、非肥満群が33.9%であったのに対し、肥満群では45.5%と多く、有意な差が見られた(p<0.05)(図7-2)。
現在、21世紀の健康づくりの指標として「健康日本21」が、提唱されている。この中では、各項目ごとに、目標値が設定され、歯の健康については、80歳で20歯以上の保有者を20%以上、60歳で24歯以上の保有者を50%以上とすることが目標とされている。江戸川区では、昭和62年から「6024運動」を区と歯科医師会が協力して行ってきた。
この事業の積み重ねの結果、平成16年の成人歯科健診の結果、受診者のうち60歳で20歯以上保有していた者は、男性で66.6%、女性で75.4%みられ、60歳の1人平均現在歯数は、男性で21歯、女性で22.6歯と目標達成に近づいている。とくに、女性で現在歯数保有状況は良好であった。現状では、僅かに目標値に到達していないが、これまでの調査では、現在歯の保有状況は増加しており目標値達成に近づいている。また、予測式を用いて80歳時の現在歯数を計算したところ、女性では、80歳で20歯以上の保有が予測されており、今後とも歯科医師会と区健康部が協力し、歯の健康の向上に努め早期の目標達成を期したい。
また、「健康日本21」には、歯周病予防の目標の中に喫煙が及ぼす影響の知識の普及が示されている。今回の調査でも、歯周疾患と喫煙の関連が見られ、特に男性では、喫煙者と歯周病との関連がみられた。喫煙と歯周病の関連は知られているが、成人歯科健診の結果でも歯の健康に喫煙が有害であった事を地域住民の健康教育に活かしていきたい。また、糖尿病や肥満と歯周疾患の関連についても、今回得られた結果を活かし、歯科保健活動を通じて、歯の健康とともに生活習慣の改善による区民の健康増進に努めていきたい。
江戸川区歯科医師会と区健康部は、区民の為多くの公衆衛生事業に取り組み、昭和62年より成人歯科健診を開始した。その結果、60歳で71.8%の者が20歯以上保有していた。また、医科の区民健診・節目健診の結果と比較検討したところ、歯周疾患の罹患者は、喫煙者で高く、肥満や糖尿病とも関係していた。今後は、これらの知見をもとに、歯科疾患と肥満や糖尿病、喫煙の関係について、理解を広め、う蝕及び歯周疾患予防にとどまらず、区民の健康向上に結びつけたい。尚、平成18年4月からは成人歯科健診は65歳・70歳を加え、20歳から70歳までの5歳おきの歯科健診事業へと拡大され、全国でも類をみない歯科健診事業となった。質問項目も高齢者に配慮し、咀嚼・口の渇き・口臭等の項目を加え、老齢期の健康向上に結びつくような啓発活動を今後も促進していきたい。
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